― なぜ今、開発・ガバナンス・セキュリティの一体化が不可欠なのか ―
DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中で、開発スピードと統治(ガバナンス)のバランスが問われています。
「早く作れ、でもリスクは出すな」という相反する要求に、現場は疲弊しています。
このジレンマを解消する新しい枠組みとして注目されているのが、DevGovSecOps。
DevOps(開発と運用の連携)をさらに発展させ、“開発・ガバナンス・セキュリティを同時に回す”組織設計を目指す考え方です。
Eyesaacはこの潮流を、単なる技術論ではなく「経営の信頼性を支えるフレームワーク」として位置づけています。
① DevOpsの進化と限界
DevOpsは、開発(Dev)と運用(Ops)の連携を通じてスピードと品質を両立する概念として広まりました。
しかし、Forresterの2024年レポートでは、DevOps導入企業の約60%が「セキュリティ対応が後追いになっている」と回答。
スピードを優先するあまり、リスクマネジメントや法令遵守(コンプライアンス)が後手に回る。
結果として、技術的には成功しても、経営的に評価されない開発が増えています。
DevOpsは「動くものを早く作る」には有効でも、「信頼されるシステムを作る」には不十分なのです。
② 「DevGovSecOps」とは何か
DevGovSecOpsは、DevOpsにGovernance(統治)とSecurity(安全性)を統合した拡張モデルです。
特徴は、開発の初期段階からガバナンス・セキュリティ担当を巻き込み、
コードと同じレベルで統治を“自動化・定量化”する点にあります。
たとえば、アクセス権限の設定・監査ログ・法令遵守チェックなどを自動テストに組み込み、
「作った後に監査する」のではなく「作ると同時に監査される」仕組みを構築します。
この考え方は、欧米の金融・公共・医療領域で急速に採用が進んでいます。
③ 経営が関与すべき理由
DevGovSecOpsは、技術者だけで完結する話ではありません。
むしろ、経営層が「信頼性をどう定義するか」を決めるフレームワークです。
経営リスクと技術リスクを分断せず、両者をリアルタイムで可視化する仕組みを作る。
これにより、「技術的には安全でも、社会的には不安」というギャップを防ぎます。
Eyesaacでは、経営・開発・セキュリティ部門を横断した“リスク会議モデル”を設計し、
「速度 × 品質 ×信頼」の三位一体運営を支援しています。
④ 成功の鍵 ― 「ルールを自動化する」文化づくり
DevGovSecOpsの導入を成功させる企業は、例外なく「ルールをコードに落とす文化」を持っています。
すなわち、監査もポリシーも文書ではなくプログラムとして実装される。
これにより、属人的な判断を排除し、ガバナンスの透明性を高めることができます。
この文化は、単なるセキュリティ強化ではなく、企業の“倫理的インフラ”を形成するものです。
Eyesaacは、こうした組織的知性の実装を「デジタルガバナンスアーキテクチャ」と呼んでいます。
まとめ ― Eyesaacの視点
DXの最終目的はスピードではなく、社会から信頼される技術運営にあります。
DevGovSecOpsは、その信頼を生み出す新しい経営構造の原型です。
技術とガバナンス、開発と倫理――これらを分けて考える時代は終わりました。
Eyesaacは、DevGovSecOpsの設計・導入・文化定着を通じて、
企業が「速く、強く、正しく」成長するエンジンを提供していきます。
引用元・参考文献
- Forrester (2024): The State of DevOps and Security Integration
- Gartner (2024): Governance in the Age of Continuous Delivery
- IEEE Security & Privacy Journal (2024): DevGovSecOps: Bridging Speed and Trust
- Eyesaac Consulting Reports (2023–2025)